緑ヶ丘療育園 ー お知らせ
てんかんミニ知識 第23回 新しいてんかん発作型分類とてんかん分類の紹介(2)を掲載しました
前回の第22回てんかんミニ知識では2017年の新しいてんかんの発作型分類について紹介いたしましたので、今回は2017年の新しいてんかん分類として、てんかん病型(てんかん類型)、てんかん症候群、病因について紹介いたします。
新しいてんかん病型は焦点起始発作を有する「焦点てんかん」、全般起始発作を有する「全般てんかん」、焦点起始発作と全般起始発作の両者を有する「全般焦点合併てんかん」、病型が焦点か全般か判断できない場合の「病型不明てんかん」の4種類となりました。
てんかん症候群とは、特徴的な臨床像と脳波、画像所見などによって特徴づけられる疾患群であり、年齢依存性、発作の誘因、日内変動、予後、知的・精神的障害などの併存症もしばしば共通します。てんかん症候群が診断されることは病因、予後、治療法などが想定されることになるため重要です。小児欠神てんかん、West症候群、Dravet症候群などよく知られている症候群が数多く存在します。
近年多くのてんかんに関与する遺伝子が発見されてきたため、今までよく使われてきた特発性全般てんかんの特発性という用語は不正確で、素因性と呼ぶべきであるとされましたが、小児欠神てんかん、若年欠神てんかん、若年ミオクロニーてんかん、全般強直間代発作のみを示すてんかんの4つのてんかん症候群に限っては今までどおり「特発性全般てんかん」という用語を用いてよいことになりました。しかし、個別の症例において担当医が素因性病因を想起することに違和感がない場合には「素因性全般てんかん」を用いてもよいとされています。
また、従来の特発性部分てんかんとされた中心・側頭部に棘波を示す良性てんかん、Panayiotopoulos症候群などは「自然終息性焦点性てんかん」と呼ぶことになりました。
次に、てんかんの病因が、「構造的」、「素因的」、「感染性」、「代謝性」、「免疫性」、「病因不明」の6つに分類されました。構造的病因はてんかん外科にとって重要であり、素因性病因は遺伝カウンセリングや結節性硬化症に対するmTOR阻害剤などの検討に重要となります。ただし、複数の病因が関わることもあり、てんかん症候群と病因は一対一対応でない場合があることに注意が必要です。
さらに、多くのてんかんは学習障害、精神障害、行動障害などの併存症を伴うことがあるので、すべてのてんかん患者において併存症の存在を考慮することが重要とされています。
てんかん外来 皆川 公夫
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てんかんミニ知識 第22回 新しいてんかん発作型分類とてんかん分類の紹介(1)を掲載しました。
てんかん診療においては国際抗てんかん連盟(ILAE)による1981年の発作型分類、1989年のてんかん分類が広く使われてきました。
1981年の発作型分類では部分発作(単純部分発作、複雑部分発作、二次性全般化発作)と全般発作(欠神発作、非定型欠神発作、ミオクロニー発作、間代発作、強直発作、強直間代発作、脱力発作)に分類されていました。
1989年のてんかん分類では局在関連性てんかんと全般てんかんに分類し、さらに両者について原因の有無により症候性と特発性に分類されていました。
しかし、新しい知見が集積され、新しい疾患概念も提唱されてきたことから、2017年にILAEは新しい発作型分類とてんかん分類を公表し、最近日本てんかん学会から日本語版が発表されましたので、今回のてんかんミニ知識ではまず新しい発作型分類について紹介いたします。
2017年の発作型分類では、発作の起始部位により焦点起始発作(従来の部分発作に相当)と全般起始発作(従来の全般発作に相当)に二分し、そこにあてはまらないものを起始不明発作としています。
基本版では焦点起始発作は、意識の有無により意識が保たれている焦点意識保持発作(従来の単純部分発作に相当)と意識障害を伴う焦点意識減損発作(従来の複雑部分発作に相当)に分けられます。さらに起始時に運動徴候を呈する場合は焦点運動起始発作、非運動徴候を呈する場合は焦点非運動起始発作と分類します。拡張版では焦点運動起始発作は症状により自動症発作、脱力発作、間代発作、てんかん性スパズム、運動亢進発作、ミオクロニー発作、強直発作に細分類され、焦点非運動起始発作は自律神経発作、動作停止発作、認知発作、情動発作,感覚発作に細分類されます。また、従来の二次性全般化発作に相当する発作型は焦点起始両側強直間代発作となりました。
全般起始発作は全般運動発作と全般非運動発作(欠神発作)に二分されます。拡張版では全般運動発作は強直間代発作、間代発作、強直発作、ミオクロニー発作、ミオクロニー強直間代発作、ミオクロニー脱力発作、脱力発作、てんかん性スパズムに細分類され、全般非運動発作(欠神発作)は定型欠神発作、非定型欠神発作、ミオクロニー欠神発作、眼瞼ミオクロニーに細分類されます。
起始不明発作は起始不明運動発作として強直間代発作とてんかん性スパズムが、起始不明非運動発作として動作停止発作が細分類されています。
この新しい分類はやや複雑で慣れるのには時間がかかりそうですが、今後はこの分類が用いられるようになりますので、この分類に慣れ親しむようになさってください。
次回は新しいてんかん分類とてんかん症候群分類について紹介する予定です。
てんかん外来 皆川 公夫
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てんかんミニ知識 第21回 緑ヶ丘療育園におけるカルニチン低下の実態 を掲載しました。
2017年2月9日のてんかんミニ知識第11回は「てんかん診療におけるルニチン欠乏」というタイトルでした。その時にはまだ保険診療でカルニチン検査ができませんでしたが、2018年2月1日から待望のカルニチン2分画検査が保険診療としてカルニチン測定対象疾患に対して6か月に1回を限度として行うことができるようになりました。
当施設はカルニチン低下のリスクを持っているてんかん外来通院中の患者さんや入所中の重症心身障害を有する患者さんを抱えていますので、2018年2月1日からこれらの患者さんに積極的にカルニチン検査を行っています。
カルニチン検査を開始してまだ1年2か月しか経過しておりませんが、今回はその途中経過をお知らせいたします。
バルプロ酸(デパケン)はカルニチンを低下させるリスクがある薬剤ですので、当施設のてんかん外来に通院中の患者さんのうちデパケンを服用中の患者さんに対して6か月毎の定期検査項目にカルニチン検査を加えました。カルニチン検査では総カルニチンと遊離カルニチンが測定されます。総カルニチンと遊離カルニチンの差がアシルカルニチンですので検査ではこの3つの値がわかりますが、このうち遊離カルニチン値でカルニチン低下の有無や程度を評価することにしました。結果はカルニチン低下が33.1%の患者さんにみられました。中には重度のカルニチン欠乏の患者さんがいましたが、カルニチン欠乏を疑うような症状がふだんからみられていた患者さんは一人もいませんでした。実際予想だにしなかった頑丈そうな患者さんでもカルニチン低下がみられることがありました。また、従来はデパケン投与中に血中アンモニア値がきわめて高い場合にはカルニチンが低下していると予想しましたが、今回のカルニチン検査の結果ではアンモニア値からカルニチン低下を予測することはできないという結果でした。
当園に入所している患者さんは、重症心身障害、経管栄養、デパケン服用などカルニチンが低下するリスクを複数持っていることが多いのですが、今回カルニチン欠乏を疑ってカルニチン検査を行った入所患者さんのうち70%と非常に多くの患者さんにカルニチン低下が認められました。とくに経管栄養を行っていてデパケンも服用している患者さんではカルニチン低下は100%に認められ、かつ重度の欠乏がみられました。外来患者さんと同様、重度のカルニチン欠乏があってもふだんとくにカルニチン欠乏を疑う症状はみられませんでした。
このように、カルニチン低下を認めた外来患者さんも入所患者さんもふだんはカルニチン低下を疑わせる症状がみられませんでしたが、カルニチン欠乏はふだん無症状であっても空腹や飢餓・発熱・感染・嘔吐・激しい運動などエネルギー需要が増大した際に急激に重篤な症状で発症する場合があるとされていますので、無症状であってもカルニチン欠乏を見逃すことなく定期的にカルニチン検査を行い、カルニチン欠乏が認められた場合にはカルニチン補充療法を行うことが重要です。
カルニチンの補充はレボカルニチン製剤(エルカルチンFF)で行いますが、経管栄養を行っている患者さんではカルニチン含有経腸栄養剤(マーメッドワンなど)や微量ミネラル・カルニチン補給飲料(テゾンなど)を用いたり、これらに少量のエルカルチンを併用したりします。
補充療法によりカルニチンが正常化してもカルニチン値をモニターしながら補充量を減量するなど調整していくことになります。
なお、ピボキシル基を含有している抗生物質(フロモックス、メイアクト、トミロン、オラペネムなど)を服用するとカルニチンが低下し、低血糖やショックが起こる危険性があるため、デパケン服用中の患者さんと重症心身障害の患者さんはこれらの抗生物質の服用は避けた方が良いと思います。
ちなみにカルニチンは赤身の肉に多く含まれており特にラム肉に多いので、ときどきジンギスカンを食べるとよいかもしれません。
てんかん外来 皆川 公夫
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てんかんミニ知識 第20回 ペランパネル(フィコンパ)を掲載しました。
ペランパネル(フィコンパ)はゾニサミド(エクセグラン)以来、27年ぶりに日本で開発された抗てんかん薬で2016年5月に発売されました。フィコンパは後シナプスにあるAMPA受容体を高選択的かつ非競合的に拮抗し、グルタミン酸による神経の過剰興奮を抑制して抗てんかん作用を発揮するという新しい作用機序の抗てんかん薬です。二次性全般化発作を含む部分発作だけでなく、強直間代発作にも適応を取得しましたが、他の抗てんかん薬との併用療法となっており、対象患者は12歳以上となっています。ファースト・イン・クラスの薬として、既存薬では抑制されないてんかん発作にも効果が期待されています。現在、小児適応と単剤療法の適応の取得、錠剤以外の剤形の開発が準備されています。
フィコンパは半減期が長く、1日1回就寝前の服用だけでよいので、患者さんにとっては都合のよい薬と思います。また、不眠症の傾向のある患者さんでは夜寝る前にフィコンパを服用するとよく眠れるようになり、睡眠薬が不要になる場合もあるようです。さらには、前頭葉てんかんなど夜間睡眠中に発作がおきやすいタイプのてんかんへの有効性が期待されています。
フィコンパは前述したように新しい作用機序をもつ大変興味深い抗てんかん薬で、視床下部過誤腫の笑い発作、進行性ミオクローヌスてんかん、脳炎後てんかん、レノックス・ガストー症候群など様々なてんかんへの有効性が報告されています。てんかん診療ガイドライン2018において、フィコンパは部分発作と強直間代発作の第2選択薬として位置付けられていますが、今後どのようなタイプのてんかんに有効性が高いのか、特発性てんかんに対する有効性はどうなのかなどが明確になってくることが期待されます。
フィコンパは2mgから開始し、1週間以上の間隔をあけて2mgずつ漸増すると添付文書には記載されています。しかし、フィコンパにはレベチラセタム(イーケプラ)と同様、易怒性・攻撃性がみられることがあるため、開始量を0.5mgないし1mgとし、少量ずつゆっくり増量するという投与方法の方が時間はかかりますが、無難な場合があります。
また、フィコンパをカルバマゼピン(テグレトール)やフェニトイン(アレビアチン)と併用するとフィコンパの血中濃度が低下することが知られています。
クロナゼパム(リボトリール、ランドセン)やクロバザム(マイスタン)はベンゾジアゼピン受容体に作用する薬ですが、耐性(慣れができて効果が低下すること)ができやすいことが知られています。受容体に作用する薬は耐性ができやすいのであれば、AMPA受容体に作用するフィコンパでも耐性ができやすい可能性が懸念されますが、フィコンパの耐性の有無についてはまだわかっていないようです。また、フィコンパの催奇形性についてのデータがまだ十分でないため、妊娠可能女性への投与の安全性は確認されていません。
ちなみに、第16回てんかんミニ知識にゾニサミドは抗てんかん薬(エクセグラン)ですが、抗パーキンソン病薬(トレリーフ)としても発売されていると記載しました。同様に、ペランパネルも抗てんかん作用以外にALS(筋萎縮性側索硬化症)への有効性が期待されており、現在孤発性ALSに対する医師主導型第2相臨床治験が行われており、興味深いところです。
てんかん外来 皆川 公夫
災害支援ナース派遣のお知らせ
北海道看護協会の要請により10月7日から10月10日まで厚真町へ災害支援ナース1名を派遣いたします。
てんかん外来 臨時休診日のお知らせ
平成30年 9月19日(水) 終日 ~ 9月21日(金) 終日
平成30年10月24日(水) 終日 ~ 10月26日(金) 終日
平成30年 11月 7日(水) 終日 ~ 11月 9日(金) 終日
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ご迷惑をお掛け致しますが、ご了承のほどお願い致します。
