社会福祉法人 札幌緑花会

札幌地区 緑ヶ丘療育園

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緑ヶ丘療育園ーてんかんミニ知識

第26回 てんかんと自動車運転免許

2024-10-02

 道路交通法(法律)ではてんかん患者が自動者免許を取得できる場合として「2年以上てんかん発作がなく、その後も発作をおこす危険が低いとき」には自動車運転が認められます。なお、発作が夜の寝ている間にしか起きない、発作の最中に意識を失わないので運転中でも車を停めるような対処ができるなど、発作があっても危険性が低いときには運転が認められることがあります。

 根拠として令第33条の2の3第2項第1号関係に、ア:発作が過去5年以内に起こったことがなく、医師が「今後、発作が起こるおそれがない」旨の診断を行った場合、 イ:発作が過去2年以内に起こったことがなく、医師が「今後、x年程度であれば、発作が起こるおそれがない」旨の診断を行った場合、 ウ:医師が、1年間の経過観察の後「発作が意識障害及び運動障害を伴わない単純部分発作に限られ、今後、症状の悪化のおそれがない」旨の診断を行った場合、 エ:医師が、2年間の経過観察の後「発作が睡眠中に限って起こり、今後、症状の悪化のおそれがない」旨の診断を行った場合、のいずれかの場合には運転免許の拒否等は行わない(免許を持つことができる)となっています。

 免許取得の手続きは、新規・更新いずれの場合にも、以下の通りです。免許申請に際して、てんかんの病気があることを申告する。主治医に診断書(公安委員会指定)を書いてもらう。診断書を公安委員会に提出して取得する。このように規則に則って、自主申告して免許を取得し、運転することは、社会の一員としての責任です。そして虚偽申告した場合には罰則が設けられています。

 なお、日本てんかん学会は、現時点では、てんかんに係る発作が、投薬なしで過去5年間なく、今後も再発のおそれがない場合を除き、通常は、中型免許(中型免許(8t限定)を除く。)、大型免許及び第二種免許(路線バスやタクシーなど商業目的で人を輸送する車両の運転ができる免許)の適性はないとの見解を有しているので、これに該当する者がこれら免許の申請又は更新の申請を行った場合には、当該見解を説明の上、当面、免許申請・更新申請に係る再考を勧めるとともに、申請取消しの制度の活用を慫慂する(しょうようする:勧めるという意味)こととするとあります。

 次に、すでに運転免許を所持しているてんかん患者がてんかん発作を起こしてしまった場合のことです。すぐに公安委員会へ申告する義務はありませんが、医師からは発作後2年間は運転禁止と指示されますので、従ってください。公安委員会には更新の時に発作があったことを自己申告し、医師の診断書を提出することにより免許取り消しになります。しかし、その後2年以上発作が起こらなければ再び運転可能となります。その場合は免許停止後3年以内に医師の診断書を含め必要な手続きをすると、技能試験及び学科試験が免除され、適性試験に合格すれば免許の再取得を受けることができ、優良運転等の経歴も引き継がれます。免許の更新や取得時に事実と異なる記載をした場合、1年以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性がありますので必ず正しく申告するようにしてください。また、医師の勧告に従わずに運転を継続していることが判明した場合は、医師は公安委員会に届け出ることができるとされています。

てんかん外来 皆川 公夫