緑ヶ丘療育園ーてんかんミニ知識
第27回 ブリーバラセタム(ブリィビアクト)
ブリーバラセタム(商品名ブリィビアクト)は2024年8月に発売された抗てんかん発作薬です。
ブリビィアクトの経口製剤(25mg錠、50mg錠)の適応症は成人における「てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)」ですが、最新のてんかん発作分類では「焦点発作(焦点起始両側強直間代発作を含む)」となります。
ブリィビアクトは、以前てんかんミニ知識第17回(2018.3.2)に掲載したレベチラセタム(商品名イーケプラ)と同様、神経終末のシナプス小胞タンパク質2A(SV2A)に結合することによって抗てんかん作用を発揮するという他剤とは異なる特異的な作用機序を有するラセタム系抗てんかん発作薬です。
ブリィビアクトはイーケプラよりもSV2Aに対する選択性と親和性(イーケプラの30倍)が高いので、より高い効果と副作用の軽減が期待されています。
ブリィビアクトはイーケプラと同様に吸収速度が速く、半減期も短いので、服薬後1時間くらいで血中濃度が最大になりますし、服用開始2日後には定常状態になるため早期に効果をえることができます。さらに投与量と血中濃度が相関するので、増やした分だけ血中濃度が上がります。このようにブリビィアクトは薬物動態学的に大変使いやすい薬剤です。
ブリビィアクトの1日投与量は50mgから200mgとされていますが、投与開始当初から治療用量での投与が可能で、細かい漸増は不要ですので、この点においても使いやすい薬剤です。
イーケプラは易刺激性(イライラ)などの副作用があり、自閉スペクトラム症などには使いにくいのですが、ブリビィアクトはこのような副作用が少ないといわれています。実際にイーケプラからブリビィアクトへの切り替えにより、行動障害の副作用の軽減や発作頻度の減少などの有効性が示されています。
なお、他の抗てんかん発作薬との相互作用としてはカルバマゼピン(商品名テグレトール)併用で、テグレトールの主要代謝産物(10,11-エポキシド)濃度は上昇する可能性があり、霧視、複視、浮動性めまい、疲労などの症状が出ることがありうるので注意を要します。
以上のような特徴を有するブリビィアクトは今後とくに薬剤抵抗性の焦点てんかん治療における重要な抗てんかん発作薬になることが期待されます。
てんかん外来 皆川 公夫