社会福祉法人 札幌緑花会

札幌地区 緑ヶ丘療育園

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緑ヶ丘療育園

第17回 レベチラセタム(イーケプラ)

2018-03-02

 レベチラセタム(イーケプラ)は新規抗てんかん薬の中では最もよく使われている薬です。

 部分発作(二次性全般化発作を含む)には単剤で使用できますが、強直間代発作には他の抗てんかん薬との併用療法として使用されます。

 4歳以上の小児には1日量20mg/kgから最大60mg/kg、成人では1日1000mgから最大3000mgを投与しますが、少量で効果がえられる場合と最大量で効果がえられる場合があります。錠剤の他に小児用のドライシロップ製剤もありますので、錠剤を飲めない患者さんには便利です。

 イーケプラは吸収速度が速く、半減期も短いので、服薬後1時間くらいで血中濃度が最大になりますし、服用開始3日後には定常状態になるため早期に効果をえることができます。さらに投与量と血中濃度が相関するので、増やした分だけ血中濃度が上がります。このようにイーケプラは薬物動態学的に大変使いやすい薬です。

 イーケプラがてんかんに効く機序(作用機序)は従来の抗てんかん薬とは全く異なる新しい作用機序であるため、従来の薬が効かない場合に試してみる価値があります。

 また、イーケプラは他の薬との間に相互作用を起こさないので、他の抗てんかん薬や高血圧の薬など抗てんかん薬以外の薬とも併用できるというメリットがあります。

 さらに、胎児に対する奇形発生率も非常に少ないので、妊娠可能な思春期の女性にも投与しやすい薬剤です。

 以上のように、イーケプラは非常にメリットの多い抗てんかん薬ですので、最近は従来のカルバマゼピン(テグレトール)に代わって部分発作の第一選択薬として使用されることが多くなっています。ただし、イーケプラの投与によりイライラがおこることがありますので、もともと情緒面に問題がある患者さんには注意が必要です。

 ラモトリギン(ラミクタール)もイーケプラと同様、最近は部分発作の第一選択薬として使用されていますが、ラミクタールには薬疹の副作用のリスクや併用薬剤との相互作用のため投与量を調節しなければならないという問題があります。

 ちなみに、イーケプラには点滴静注用の製剤もあります。イーケプラの静注は速効性でけいれん重積にもよく効くのですが、この静注製剤の適応は一時的にイーケプラを口から服用できない状況にある患者に対しての代替療法のみとなっています。今後イーケプラ点滴静注製剤がけいれん重積にも使用できるよう適応拡大されることが望まれます。

てんかん外来  皆川 公夫