緑ヶ丘療育園
第22回 新しいてんかん発作型分類とてんかん分類の紹介(1)
てんかん診療においては国際抗てんかん連盟(ILAE)による1981年の発作型分類、1989年のてんかん分類が広く使われてきました。
1981年の発作型分類では部分発作(単純部分発作、複雑部分発作、二次性全般化発作)と全般発作(欠神発作、非定型欠神発作、ミオクロニー発作、間代発作、強直発作、強直間代発作、脱力発作)に分類されていました。
1989年のてんかん分類では局在関連性てんかんと全般てんかんに分類し、さらに両者について原因の有無により症候性と特発性に分類されていました。
しかし、新しい知見が集積され、新しい疾患概念も提唱されてきたことから、2017年にILAEは新しい発作型分類とてんかん分類を公表し、最近日本てんかん学会から日本語版が発表されましたので、今回のてんかんミニ知識ではまず新しい発作型分類について紹介いたします。
2017年の発作型分類では、発作の起始部位により焦点起始発作(従来の部分発作に相当)と全般起始発作(従来の全般発作に相当)に二分し、そこにあてはまらないものを起始不明発作としています。
基本版では焦点起始発作は、意識の有無により意識が保たれている焦点意識保持発作(従来の単純部分発作に相当)と意識障害を伴う焦点意識減損発作(従来の複雑部分発作に相当)に分けられます。さらに起始時に運動徴候を呈する場合は焦点運動起始発作、非運動徴候を呈する場合は焦点非運動起始発作と分類します。拡張版では焦点運動起始発作は症状により自動症発作、脱力発作、間代発作、てんかん性スパズム、運動亢進発作、ミオクロニー発作、強直発作に細分類され、焦点非運動起始発作は自律神経発作、動作停止発作、認知発作、情動発作,感覚発作に細分類されます。また、従来の二次性全般化発作に相当する発作型は焦点起始両側強直間代発作となりました。
全般起始発作は全般運動発作と全般非運動発作(欠神発作)に二分されます。拡張版では全般運動発作は強直間代発作、間代発作、強直発作、ミオクロニー発作、ミオクロニー強直間代発作、ミオクロニー脱力発作、脱力発作、てんかん性スパズムに細分類され、全般非運動発作(欠神発作)は定型欠神発作、非定型欠神発作、ミオクロニー欠神発作、眼瞼ミオクロニーに細分類されます。
起始不明発作は起始不明運動発作として強直間代発作とてんかん性スパズムが、起始不明非運動発作として動作停止発作が細分類されています。
この新しい分類はやや複雑で慣れるのには時間がかかりそうですが、今後はこの分類が用いられるようになりますので、この分類に慣れ親しむようになさってください。
次回は新しいてんかん分類とてんかん症候群分類について紹介する予定です。
てんかん外来 皆川 公夫