社会福祉法人 札幌緑花会

札幌地区 緑ヶ丘療育園

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緑ヶ丘療育園ーてんかんミニ知識

第16回 ゾニサミド(エクセグラン)    

2018-01-12

 ゾニサミド(エクセグラン)は日本で開発された抗てんかん薬で、1989年に発売されました。部分発作と全般発作の両方に適応があるので、ウエスト症候群をはじめ難治性のてんかんにも使われることが多い薬剤です。

 エクセグランには、てんかんにも使用されるアセタゾラミド(ダイアモックス)と同様、利尿作用をきたす炭酸脱水素酵素阻害作用がありますので、脱水や代謝性アシドーシスには注意が必要です。

 てんかんミニ知識第4回にも記載しましたが、エクセグランは発汗を減少させることがあるので、体温調節が障害され、高体温の持続につながるおそれがあります。特に夏季には体温が上昇しやすいため、高温環境下をできるだけ避けることが必要です。また、発汗減少から高体温や意識障害等を呈し、熱中症をきたした症例が報告されています。このため、夏季や高温環境下では、観察を十分に行い、発汗減少、体温上昇、顔面潮紅、意識障害等の熱中症の症状の発現に留意することが重要です。

 また、エクセグランによる尿路結石がみられることがあります。とくに重症心身障害児では尿路結石の発生頻度が高いように思います。私の経験では腎盂に結石が陥頓して著明な水腎症をきたし、緊急手術を必要としたケースもありました。乳児や重症心身障害児では結石による痛みを訴えることができない場合もありますので、定期的な尿沈査検査で結晶の有無をチェックしたり、オムツなどに白い砂状の尿砂が出ていないかをチェックすることが必要です。そして結石が疑われるときには尿路系のCT検査や超音波検査を積極的に行うようにすべきと思います。結石が確認された場合には可能であればエクセグランを中止します。また、新規抗てんかん薬のトピラマート(トピナ)にもエクセグランと同様、尿路結石の副作用がありますので、エクセグランとトピナの併用は避けるべきと思います。

 他には、エクセグランで精神症状、食欲低下、体重減少などの副作用がみられることがあります。

 なお、2009年にエクセグランと同じ成分のゾニサミド製剤であるトレリーフがパーキンソン病治療薬として発売されました。ちなみに、抗てんかん薬エクセグランの薬価は100㎎錠が29.8円に対して、パーキンソン病治療薬トレリーフOD 50mg 錠の薬価は167.4円、100㎎に換算すると334.8円となり、同じゾニサミド製剤にもかかわらず、トレリーフはエクセグランの11.2倍も薬価が高くなっています。

 

てんかん外来  皆川 公夫